栗林公園の見どころはココ!絶対外せない鑑賞ポイントをご紹介

栗林公園といえば、ミシュラン三つ星を獲得し、国内外からもその名を知られる大名庭園です。
その美しい景色を余すことなく鑑賞したいという方も少なくありませんが、平庭部だけでも16.2ヘクタール、東京ドーム3.5個分もの広さがあり、南庭回遊コースだけで60分、北庭回遊コースも合わせるとさらに40分程度の時間がかかります。
園内には建物や季節の花をはじめとする鑑賞ポイントがたくさんあり、1つずつじっくり見て回っているとさらに時間が必要です。

こまかいポイントまでチェックしていくと、1日かけても回りきれないというくらい、見どころの多い庭園でもあります。
とは言え、観光の時間は無限ではなく、次の予定を考えると見て回れる時間は限られているという方が多いはず。
そこで、ココだけは押さえておくべきという、栗林公園の鑑賞ポイントについて詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてみてください。

飛来峰(ひらいほう)

富士山に見立てて造られたと言われている築山「飛来峰」は、栗林公園を代表する景色が見られるおすすめのビューポイント。
南湖に架かるアーチを描く橋「偃月橋(えんげつきょう)」から、奥の掬月亭までを見渡せる絶景は、息を呑むほどの美しさ。
背景に紫雲山がそびえていることもあり、ビルや街並みなどの一切が排除された、往時のままの風情を感じられる点もその美しさのポイントのひとつ。

山頂近くにある珪化木(けいかぼく)の石組みは、山が崩れるのを防ぐだけでなく、富士山の雪を表現したものではないかと言われています。そのため、飛来峰からの景色ばかりに注目されがちですが、園内から飛来峰を眺めてみると、一味違った見どころがあります。

掬月亭(きくげつてい)

飛来峰(ひらいほう)から見える景色の一番奥に見える、南湖に迫り出すような形で佇む大茶屋。
17世紀後半に建てられたと言われている掬月亭は、藩主が「特別なゲストを招いてゆっくりと時間を過ごすことができるように」という想いから、大部分が縁側で囲まれていたり、玄関が設けられていなかったりと、格式張った雰囲気を排除したカジュアルなスタイルとなっていたり、知れば知るほどさまざまな工夫が凝らされていて見どころがたくさんある建物です。

池に迫り出した部分に座ると、風通しが良く、真夏でも心地よい風が吹き抜ける絶好の休憩ポイントになっています。
秋の紅葉や冬の雪化粧など、四季折々の景観を見れば、歴代藩主がこの建物をこよなく愛したという理由も頷けるはず。

掬月亭について詳しく知りたい方は、下記記事も併せてチェックしてみてください。

旧日暮亭(きゅうひぐらしてい)

栗林公園内にある建物で、かなり奥まった位置に佇む大名茶室です。
もともとは吹上げの水流沿いに建てられたという「考槃亭」がルーツと言われており、会遷巖の東方に移築されて「日暮亭」と改称。その後明治時代に一度栗林公園外の私人亭に移設され、昭和20年に栗林公園に「新日暮亭」として蘇ったものです。

現在では旧日暮亭と称され、日暮亭と並んで風情あふれる茶室となっています。
通るルートによってはスルーしてしまう可能性もあるため、入り口で配られているパンフレットの「南庭海遊コース」をしっかりとチェックしておきましょう。

桶樋滝(おけどいのたき)

広々とした栗林公園の中にあって、唯一水の落ちる滝がこの「桶樋滝」です。
南庭の借景となっている紫雲山の赤壁を使い、高さ11.5メートルの滝を人口で作ったもので、もともとは西湖の水を紫雲山中腹に置いた桶まで人力で汲み上げ、藩主が鑑賞する瞬間だけ水を落としていました。

その後、一度は地形の変化によってなくなってしまっていましたが、平成9年5月にポンプで汲み上げて水を循環させる方法で復元。
人口の滝として風情を楽しめる鑑賞ポイントのひとつとなっています。

吹上(ふきあげ)

栗林公園は、もともとは河川の河床だったこともあり、伏流水が多く、これまでに水が枯れたことはありません。
かつては吹上からの湧水だけで池の水をすべて賄っていたとされるほどの水量があり、その水は今も健在。
水が流れ込み、南湖と合流するポイントには吹上亭があり、集まった鯉に餌をあげることも可能です。

栗林公園の松

栗林公園には全部で1400本もの松があり、その中でも約千本は庭師によって綺麗に手入れがされています。
特に根上り五葉松、鶴亀松、箱松の3つは、栗林公園でも押さえておくべき見どころとして、栗林公園の三大松と称されています。
ミシュラン三つ星に選ばれた理由のひとつとしても松の美しさが挙げられており、その美しい松を見るためだけでも、訪れる価値があると言えます。

栗林公園の松の見どころは下記の通りです。

根上り五葉松(ねあがりごようまつ)

掬月亭の脇にそびえる大きな松。
高さ8m、幹の太さは約3.5メートルもある巨大な松は、園内に植えられた松の中でも一際目を引く特別な一本。
根上り五葉松は天保4年に高松藩の9代目、松平頼恕(よりひろ)が、徳川11代目将軍の家斉(いえなり)からいただいた鉢植えの盆栽を庭に植えたものとされています。
鉢植えの盆栽が200年近い時を経て大木へと成長した姿は、これだけでも一見の価値アリ。
ちなみに、千本を誇る松が植えられた栗林公園の中で、五葉松はこの一本だけしかありません。

鶴亀松(つるかめまつ)

栗林公園の東門から入って少し歩くと最初に目を引くのが紫雲山を背にそびえる大きな松。
その松の一群の中にあって、一際立派な黒松こそが、鶴亀松です。
樹齢約三百年を誇り、栗林公園のシンボルとも言える見事な松は、組石の上にそびえる松が、亀の上で翼を広げている鶴のように見えることからその名が付けられました。

松の鑑賞ポイントは「一肌(幹模様)、二振り(枝ぶり)、三姿(樹形)」と言われますが、鶴亀松はそのすべてが美しく、園内随一の美松とも言われています。

箱松(はこまつ)

鶴亀松から梅林橋経由で掬月亭方面に向かうと、目に入ってくるのが四角く切り揃えられた松の生垣。
栗林公園でしか見られない独特な形の松で、正面からはもちろん、後ろや横など、角度を変えてみることによってさまざまな楽しみ方ができる点も箱松の魅力のひとつ。
その連続する造形美は栗林公園が誇る300年の歴史の賜物で、今も庭園を手入れする庭師の担当の割り振りがきちんと決められています。

お手植松(おてうえまつ)

栗林公園の北庭にある5本の松のことで、昭和天皇の妃、香淳皇后や英国のエリザベス女王の先々代国王にあたる王太子時代のエドワード8世、皇太子時代の昭和天皇など、栗林公園を訪れたさまざまな方が植樹された松が6本並んでいました。
現在は、北端の1本が落雷によって枯死してしまったため、5本となっています。
松を植樹された人物と時期は下記の通り。

番号 人物 時期
香淳皇后 1923年
高松宮宣仁親王 1914年
昭和天皇 1914年
秩父宮雍仁親王 1914年
英国・エドワード8世 1922年
北白川宮妃富子さま 1925年

※①は現存せず

日暮亭(ひぐらしてい)

旧日暮亭が栗林公園外に移設された際、これを模して再建されたのが現在の日暮亭です。
明治31年に築造された茅葺きの草庵型の茶室で、石州流の茶室として再建されました。
南庭の中でも木々の生い茂る場所に佇み、木漏れ日の降り注ぐ中に佇む姿は森の隠れ家のような侘び寂びを感じさせます。
室内からも趣のある雰囲気の中で日本人の琴線に触れる安らぎを感じることができます。
期間限定で、室内に入って食事を楽しむことも可能です。

他にもさまざまな見どころがアリ

栗林公園は広大な敷地の中に造られた日本庭園で、建物も複数存在しています。
魅力や見どころは盛り沢山で、何度も訪れている方の中でも、一番好きなポイントは異なることが少なくありません。
だからこそ、どのポイントをチェックすべきなのかは人それぞれとも言えますが「栗林公園に行ったよ」と言える写真映えのポイントとして一番のポイントと言えるのは飛来峰で、ビューポイントである飛来峰を富士山に見立てた姿を眺めることも含め、お茶を飲みながらゆっくりと休憩時間を過ごすのであれば、歴代の藩主が愛した大茶屋、掬月亭がおすすめです。
栗林公園を初めて訪れる際にはぜひ、外せないビューポイントとしてぜひ立ち寄ってみてください。
掬月亭の見どころはINSTAGRAMでも紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。